JUJU(ジュジュ) Cover Album
ユーミンをめぐる物語
onenation / Sony Music Labels Inc.
2022年3月16日発売(CD : AICL 4203、CD&DVD:AICL 4201/2)

yumi_juju

Produced by 松任谷正隆 / 松任谷由実
Executive Producer : DJ HIROnyc
Manabu Tsujino, Shunsuke Fujiwara
最高5位・6.2万枚

TL

1. A HAPPY NEW YEAR
(作曲:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1981 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『昨晩お会いしましょう』収録。
イントロはオリジナルとは異なるフレーズが使用されている。

Keyboards : 松任谷正隆
Strings : 阿部雅士ストリングス
Sound Effect : 山中雅文

2. 守ってあげたい
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1981 KIRARA MUSIC PUBLISHER & kadokawa Media House
アルバム『昨晩お会いしましょう』収録。
由実さんの代表曲のひとつとして知られる『松曲』ですが、アレンジはJUJU向けに新たに構築されたものになっている。

Drums : 渡嘉敷祐一
Guitars : 鳥山雄司
Bass :須長和広
Keyboards : 松任谷正隆

3. ダンデライオン 〜遅咲きのたんぽぽ
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1983 kadokawa Media House & KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『VOYAGER』収録。1983年7月25日に原田知世さんの4thシングル『ダンデライオン』としてKadokawa Recordから発売されて世に出た。ちなみにB面は『守ってあげたい』いずれも由実さん作、正隆さんアレンジ。
同年、由実さんがカバー。

Bass :須長和広
Guitars : 松任谷正隆
Strings : 阿部雅士ストリングス
Keyboards : 松任谷正隆

4. 卒業写真
(作詞:作曲:荒井由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1975 ALFA MUSIC, INC.
アルバム『COBALT HOUR』収録。
ホテルのラウンジで流れていそうなジャジーな『大人の卒業写真』になっている。
個人的にはライブで披露されていた泣きのイントロの付いたヴァージョンが好きなのだけどね。

Keyboards : 松任谷正隆
Drums : 渡嘉敷祐一
Bass :須長和広

5. 真珠のピアス
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1982 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『PEARL PIERCE』収録。
もともとすごく好きな曲ですが、AOR色の強かったオリジナルとは異なりJUJU仕様にアレンジされている。
無機質な都会的なトラックに絡まるピアノがせつなく、そこに主張の少ないJUJUのヴォーカルがさりげなく踊る。

Guitars : 鳥山雄司 & 松任谷正隆
Keyboards : 松任谷正隆

6. 影になって
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:五十嵐充)
(C) 1979 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『悲しいほどお天気』収録。
オリジナル同様『夜の香り』は残され、アシッドジャズ的なアプローチが彼女の声を怪しく感じさせる。

Drums : 渡嘉敷祐一
Guitars : 鳥山雄司
Strings : 阿部雅士ストリングス
Chorus : 今井マサキ & Ami
Trumpet : 西村浩二 & 菅坡雅彦
Keyboards : 松任谷正隆

7. 街角のペシミスト
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1981 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『昨晩お会いしましょう』収録。
曲の雰囲気はオリジナルに近いかなと。音自体は新しいんだけどね。

Bass :須長和広
Guitars : 鳥山雄司
Strings : 阿部雅士ストリングス
Keyboards : 松任谷正隆

8. 鍵穴
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 2022 Sony Music Publishing (Japan) Inc.
アルバム唯一のオリジナル・ソング。松任谷由実さんがJUJUをイメージして書き下ろした新曲。
JUJUが好きだという『TYPHOON』にどこか世界観が似ているような(狙った?)大人な楽曲。鍵と鍵穴。すなわち男と女。
2年くらい前に楽曲提供のオファーがあったそうですが、由実さんの活動の状況や気分的な問題でその話からは遠ざかったとのこと。再度オファーされて、やってみようという気持ちになり書いたそうです。

Guitars : 松任谷正隆
Keyboards : 松任谷正隆

9. TYPHOON
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1983 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『VOYAGER』収録。
JUJUさんが特にお気に入りで『こういう女性になりたい』と思っていたとか。
シンフォニックな世界観。

Strings : 阿部雅士ストリングス
Keyboards : 松任谷正隆

10. リフレインが叫んでる
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1988 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『Delight Slight Light KISS』収録。
オリジナルの焦燥感はダンサブルにすることで表現されている。

Guitars : 鳥山雄司
Keyboards : 松任谷正隆

11. DESTINY
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1979 KIRARA MUSIC PUBLISHER
アルバム『悲しいほどお天気』収録。
あの大定番のイントロはない。
なんと!正隆さん、サックス、トランペット、トロンボーンで南国風のサウンドアプローチできました!その意外性が面白かった。

Keyboards : 松任谷正隆
Drums : 渡嘉敷祐一
Bass :須長和広
Guitars : 鳥山雄司
Trumpet : 西村浩二 & 菅坡雅彦
Sax : 山本拓夫
Trombone : 中川英二郎

12. 雨の街を
(作詞:作曲:荒井由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1973 ALFA MUSIC, INC.
アルバム『ひこうき雲』収録。
この曲もオリジナルはイントロ殺しですけど、あの名フレーズは使用されませんでした。
由実さんのオリジナルはもっと寂しい感じ…主人公は迷子のような感じがしたけど、こちらはヴォーカルのせいもあるんだろうけど悟ってる感があるのよね。アレンジは気高く崇高。

Strings : 阿部雅士ストリングス
Keyboards : 松任谷正隆

13. ひこうき雲
(作詞:作曲:荒井由実・編曲:松任谷正隆I)
(C) 1973 ALFA MUSIC, INC.
アルバム『ひこうき雲』収録。
はい。この曲もイントロで痺れちゃう名曲なわけですが、やはりというかオリジナルとは全く異なるイントロ、仕上がりとなっております。
アレンジはどこかブルージーでアメリカンな感じがします。

Keyboards : 松任谷正隆
Drums : 渡嘉敷祐一
Bass :須長和広
Guitars : 松任谷正隆
Gospel : THE SOULMATICS

14. A HAPPY NEW YEAR (Intimate Ver.)
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1981 KIRARA MUSIC PUBLISHER
トラック1の別ヴァージョン。初回盤に収録されているボーナストラック。
正隆さんのピアノとJUJUの歌声だけで構成されている。

Piano : 松任谷正隆

RV




JUJUのカバーアルバムは全編、ユーミンの楽曲で構成されたいる『ひとりトリビュート』的な内容になっている。なんとプロデュースは松任谷正隆さん、松任谷由実さんというから驚きである。
荒井由実時代から『Delight Slight Light KISS』までの曲から選んだとのこと。
類似アルバムとして2013年に今井美樹さんが発表した『Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-』が思い出されるが、個人的には興味をそそられなかった。

とても失礼な言い方ですが、正直なところ実はJUJUってほとんど聴きません。全く興味がないのです。嫌いということではなく全く自分のアンテナには引っかからないというか。もちろん存在は知ってます。
それではなぜこの作品を手にしたのか?といえば全てのアレンジを松任谷正隆さんがしているからです。かつての楽曲、名曲群を正隆さんがどう仕上げるのか、興味はその点だけでした。

そもそもこのカバーアルバムはユーミンLOVE全開のJUJUの中に芽生えた『(カバー)アルバムを制作することを後悔したくない』という想いだったという。それも正隆さん、由実さんと一緒に作りたいという強い想いだ。
その熱意が正隆さん、由実さんに届き、二人のプロデュースを獲得しました。
今井美樹さんの時とは違ってお二人の『お墨付き』が付くわけですから由実さんのファンにとっては聴き逃すことができないアイテムになるのです。

いわゆる『松曲』が大半を占めていますけど、『TYPHOON』や『影になって』などを選んでくるあたりJUJUさんガチなんだ!と認識させます。
JUJUの声で、ということなら『ランチタイムが終わる頃』や『メトロポリスの片隅で』『続・ガールフレンド』あたりも良かったかも。
この作品を楽しむためには付属のDVDを観なきゃ始まらないかな、と。JUJUの気持ちと夫妻との交流が映像として残されています。
由実さんショッキング・ピンクのパンツ履いてました。(笑)
スタジオのシーンなどを織り交ぜてドキュメント風に尺をとって構成されています。
アルバムには収録されていない『ANNIVERSARY』『DOWN TOWN BOY』『まちぶせ』『あの日にかえりたい』のライブ映像も収められています。
特典DVDという枠を超えているような気がします。

JUJUの『想い』が松任谷正隆さんの現在の解釈、サウンドを聴くことができました。ありがとう。


個人的評価 ★★★★★★★★★☆ 9