倉木麻衣｜FAIRY TALE (2003) 続き

幸せの扉

6歳くらい歳上のリーマンとは専ら家で会うことが多く、今思えば体だけの関係を続けていたようにも思えますけど。

9.11が起きた日も、僕はマンションで彼がくるのを待っていました。テレビの音を消して映像だけの状態で繰り返し放送される惨劇をただ観ていました。

いつも深夜、仕事帰りの彼がくたびれたスーツ姿でやってきて、シャワーに入って、そういうことをして、そのまま寝て…朝方に帰ってゆく繰り返し。
彼がウケなので強制的にタチらされていたことはその後二丁目で役に立つのだけど。（笑）

正直そういう関係にうんざりしていて、別れを切り出したとき、いきなり真夜中にやってきて車でイルミネーションが綺麗なところへ連れて行かれました。
ベンチに腰掛けて話をして、いきなり抱きしめられ、『同居人とは別れる』とか甘い言葉に絆されて信じてしまった。（アホですね）

同居人と喧嘩して大阪まで車で迎えに行くと言ったときに、さすがの僕も気持ちは覚めました。

別れてからしばらくは落ち込んだような気もするけど、切り替えは早く、高円寺に住む子と遊ぶようになりました。
初めてその子の部屋に行った時、流れていた曲が『ワダツミの木』でめちゃくちゃげんなりした記憶があります。

そのあとに知り合ったのが、北関東から資格習得のために出てきていた2つくらい下の子でした。
ほっそりした色白のノッポで、正直タイプとは違ったんだけど、強情なところとかが可愛く感じていつのまにか付き合いました。

僕は思い出が染み付いた部屋を出て彼の部屋に住み始めました。一緒に買い物に行ったり、ご飯を作ったり、自転車で新宿まで出かけたり、それまでの人とはできなかったことができて楽しかったな。

彼は、ゆずファンでよくゆずを聴いてました。
その頃『幸せの扉』という曲を僕は気に入っていたな。
シーブリーズのキャンペーンで倉木麻衣&FRIENDSのライブが当選した時は、彼を誘って逗子まで行った。倉木麻衣とか興味なかったと思うけど楽しかったって言ってた。
お金じゃ買えない思い出だよね。

結局彼が田舎に戻る11月まで一緒にいて、それからは離ればなれに。別れ話なんてあったかなよく覚えてない。
最後の前日は二丁目のホテルに泊まって翌日彼を高速バスターミナルまで送っていった。
色々あったしお互いに大変なこともあったからお互いに想いはあったと思うけど、ささやかな時間を共に過ごしたことはお互いの心に残っていると思う。
いつか袋田の滝に一緒に行きたかった。

そのあと、発展場（受付の窓越しに）で彼を観た時に僕の中で全ては終わったけどね。（笑）