浜崎あゆみ 1st Studio Album
A Song for ××
avex trax
1999年1月1日(CD : AVCD-11691 )

ayu

Produced by max matsuura
最高1位・145.2万枚

TL

1. Prologue
(作曲:編曲:星野靖彦)
(C) 1999 avex music publishing inc.
浜崎あゆみ物語(ストーリー)の始まりを感じさせるインストゥルメンタル。暗い闇から陽が昇り始めるような感じ。
朋ちゃんの1stもオープニングはインストだったね。あちらのほうがもっともっとコンセプチュアルでドラマティックだったけど。
あゆは明るい未来を感じさせるような希望が。


2. A Song for ××
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:星野靖彦)
(C) 1999 avex music publishing inc.
アルバムのタイトル曲。
当時の彼女の想いがリアルに綴られたマイ・ストーリー。
アルバムのスポットCMはなんとなんと60秒のものが作られ、年末年始にかけて日本中に集中投下された。
あのときのエイベックスの宣伝力はさすがと言わざるを得ない。あんなすごいこともう誰もできないよ。

もう陽が昇るね そろそろ行かなきゃ
いつまでも同じ所には いられない


3. Hana
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:星野靖彦)
(C) 1999 avex music publishing inc.
サウンドはFavorite Blueとかを連想させる。

4. FRIEND
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:星野靖彦・編曲:本間昭光
(C) 1998 avex music publishing inc.
シングル『poker face』カップリング。
こういうナチュラルな感じの浜崎あゆみが好きだったファンもいたんじゃないかな。
広瀬香美さんの曲にもこういうアレンジの曲あったような。


5. FRIEND II
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:五十嵐充)
(C) 1999 avex music publishing inc.
『FRIEND』は初々しくてよかったけども、こちらは微妙だね。
Every Little Thing(当時)の五十嵐充さんの提供なのでそれっぽくなるのは分かるんだけど、なぜかこの曲はアレンジが小室さん風味でもあるという。(笑)


6. poker face
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:星野靖彦・編曲:本間昭光)
(C) 1998 avex music publishing inc.
1998年4月8日発売のデビューシングル。最高20位、4.3万枚。TBS系『COUNT DOWN TV』オープニング。
当時のavexらしい音作りですね。


7. Wishing
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:桑原秀明・編曲:本間昭光)
(C) 1999 avex music publishing inc.
オーソドックスなバラード曲。桑原さんという人は良い曲書くよね。
槇原敬之の『THE END OF THE WORLD』とかに近いかな。


8. YOU
(作詞:浜崎あゆみ・作曲: 星野靖彦・編曲:本間昭光)
(C) 1998 avex music publishing inc.
1998年6月10日発売の2ndシングル。最高20位、7.8万枚。チバビジョン フォーカスデイリーズCM / テレビ東京系 ASAYAN エンディング。
正統派なポップスで個人的にはこの路線が好きだった。
ASAYANとかでスポットCMをよく見かけた。
デビュー曲の売り上げを大きく上回り、ミュージックステーションに出演している。


ayumi
90年代半ばからサンミュージックに所属し、アイドルっぽい仕事をしていた彼女。TBS系金曜ドラマ『未成年』では河相我聞の子供を妊娠する少女役でレギュラー出演した。
聖子と浜崎を見つけたサンミュってすごいなぁと思うよ。


9. As if...
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:菊池一仁・編曲:本間昭光)
(C) 1999 avex music publishing inc.
相手がいる男性と恋している女性の正直な気持ちを綴っている。彼に会えるならそれも仕方ないのかと思おうとしている。
Favorite BlueとかPAMELAHあたりに近い音作り。実に90年代的というか。


10. POWDER SNOW
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:桑原秀明・編曲:本間昭光)
(C) 1999 avex music publishing inc.
90年代半ば以降よくみられたウインター・バラード。しっかりリズム刻んでます。
個人的にはシングルにしても良かったと思うくらい好きだったし、シングルにする必要があった曲だと思うけどね。
たしかこの曲でも60秒のアルバムのスポットCMが制作され、大量に流れていました。


11. Trust
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:木村貴志・編曲:木村貴志・本間昭光)
(C) 1998 avex music publishing inc.
1998年8月5日発売の3rdシングル。最高9位、18.5万枚。花王 AUBE CMソング。(出演 上原さくら)
この曲で初めてシングルが10万枚を突破し、浜崎あゆみの名前が大きく注目されるようになる。


12. Depend on you
(作詞:浜崎あゆみ・作曲: 菊池一仁・編曲:本間昭光、守尾崇)
(C) 1998 avex music publishing inc.
1998年12月9日発売の5thシングル。最高6位、13.1万枚。PlayStation用ソフト サウザンズド アームズ テーマソング。(出演 浜崎あゆみ)
サウンド作りはギターとキーボード基調で Every Little Thingっぽいね。


13. SIGNAL
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:桑原秀明・編曲:本間昭光)
(C) 1999 avex music publishing inc.
当時は気にもしなかったけど、やっぱり音はEvery Little Thingっぽいんだよね。

14. from your letter
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:富樫明生)
(C) 1999 avex music publishing inc.
リズムこそR&Bを意識しているが、よくあるJ-Popの類ですね。

15. For My Dear...
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:星野靖彦)
(C) 1998 avex music publishing inc.
1998年10月8日発売の4thシングル。最高9位、7.4万枚。森永 トリュフチョコレートCMソング。(出演 浜崎あゆみ)
そののちも彼女が得意とするバラードの先駆けというか。


16. Present
(作詞:浜崎あゆみ・作曲:編曲:星野靖彦)
(C) 1999 avex music publishing inc.
ラストはボーナストラック的な1曲。
歌詞カードに歌詞が掲載されていないのは意図的なもの。ファンを含め応援してくれた人たちに向けて浜崎あゆみから感謝を歌った歌だから。
爽やかで青空が見えてきて、サーカスさんの『アメリカンフィーリング』を連想しちゃうんだよね。
ELTでいうところの『Never Stop!』だよね。良心というか良質なポップスのプレゼント。


RV

A Song for ××
avex trax
2012-10-03



アイドル、タレント活動を経て1998年4月にシングル『poker face』で歌手としてデビューした浜崎あゆみ。売り上げは4.3万枚で新人としてはまずまずの船出となり、2ndシングル『YOU』も7.8万枚と順調といえば順調にリリースをかさねた。
プロデューサーの松浦勝人としては何が何でも成功させなければならないプロダクツであったから
怒涛のシングル攻勢、タイアップ戦略は抜かりなかった。
3rdシングルの『Trust』がCMソングとなり彼女としては初めての20万枚に迫るスマッシュ・ヒットとなる。そのあとの『For My Dear...』も7.4万枚とトップ10入りとなった。
先行シングルがまずまずの売り上げだったこともあり、そろそろアルバムかなとアルバムへの注目度が高まっていた師走に5枚目のシングル『Depend on you』をトドメのリリース!タイアップ効果もあり自身最高の6位を獲得、売り上げも10万枚を超えた。
1998年を全力で駆け抜けた浜崎あゆみの記録は年明けの発売ということになる。
シングルの連続ヒットでアルバムを待ちわびていたリスナーが飛びついた今作は年末には店頭に並び大ヒットとなる。

この1stアルバムは、それ以降の浜崎あゆみの作品とは若干毛色が違っている。
松任谷正隆さんの弟子である音楽プロデューサー本間昭光さんを重用していることからもわかるように、いわゆるJ-Pop王道路線だ。
Coming Centuryや安室奈美恵のユーロ曲でお馴染みだった星野靖彦が8曲の作曲を手掛けている。
久しぶりに聴いて感じたのは、意外にEvery Little Thingに寄せてるなあってこと。五十嵐充さんが使ってる曲は1曲だけども、他の人の曲でもそれっぽいのが多い。

もともとダンスミュージックを世に送り出すために設立されたエイベックス。
洋楽のコンピレーションやtrfのヒットを契機に自前の邦楽アーティスト発掘に乗り出すわけだが、専務松浦勝人が手がけたEvery Little Thingもこの浜崎あゆみも始まりはダンスミュージックとも遠く、クラブシーン・フロアを意識して制作された音楽ではなかった。
小室さんがやってたglobeはそのへんは意識していたと思われるが。

16曲中15曲が歌モノでがっちり固められていて、詰め込まれすぎた幕の内弁当タイプのアルバムに仕上がっている。
入るだけ入れたとでもいえばいいのだろうか。浜崎あゆみがデビューしてからの8ヶ月の記録のようでアルバム一枚としてのコンセプトは感じない。様式美はないです。
スマッシュヒットになったシングルも多いため、彼女に注目していたリスナーは様子見でアルバムを手にしたのではないだろうか。
私もその一人ではあるのだが、初めて聴いた時は(曲数が多くて)お得だなと思ったな。
90年代ってシングルが3枚以上ヒットすると、それを含むアルバムが結構売れちゃうことがありました。記憶にあるのはDA PUMPとかMAXとかね。

エイベックス専務だった松浦勝人が、小室哲哉に依存しない邦楽アーティスト発掘のために売り出した一人が彼女だったわけで、同時に小室哲哉の恋人だった華原朋美のポジションをかっさらうというミッションを背負わせていた。(?)
初期の作り物ぶりっ子路線や、桃の天然水CM強奪、アルバムのアートワークの寄せてる感といい、今にして思えば松浦さん、すごい対抗心だなと。めちゃくちゃ執念深いじゃん!
そういう周囲の戦略など知らないまま、歌い始めた彼女。
そして1stにしてミリオンセラーを達成してしまうのでした。

このあと、『WHATEVER』というシングルを発売するのですが、この曲はタイプの違う2つのアレンジを両A面で収録している。
1つがリミックスっぽいテクノ風のVersion M、1つがこのアルバムの延長線上にあるJ-Pop仕様のVersion Jである。
テレビのスポットCMでは1つめがよく流れていた気がする。
これはおそらく、リミックスっぽい音でも受け入れられるのか?という制作側の実験だと思うのだけど、エイベックスのアーティストなのだから、ダンスミュージックやクラブシーンへのアプローチをどうしてもしたいという意向が働いたと思われる。
その後彼女がリリースするシングルは、さまざまなDJ、音楽プロデューサーがリミックスを施し、しかもシングル一枚にいくつものヴァージョンを収録して、まるでリミックスアルバムのようだった。
しかも超大物DJもしれっと参加していて…。

個人的なメモリー…学校が休みに入ってすることもなかったから、企業の引っ越しのバイトをしたんだよね。
野郎ばかり30人くらい、新橋あたりの会社だったね。良い景色だったよ。
日払いでもらったお金でこれ買ったのよ。
元旦発売だから、月末には早々と店頭に並んでいたね。
ちょっと凍えたココロで聴いたからよく憶えてるよ。
『Ayu』と呼ばれる前、まだ初々しい時期の彼女が詰め込まれた作品です。
個人的には売れたその後より、こっちのほうが印象に残っているんです。

さて、浜崎あゆみはこの後本格的にブレイクしていくわけですが、この1999年は鈴木あみがブレイクします。師走には倉木麻衣がデビューします。
そして槇原敬之さんが最初に逮捕されるのも1999年でした。

ミレニアムに向かって混沌としてゆく時代のアイコンになるべくエイベックスの歌姫は帆を上げた。


A COMPLETE ~ALL SINGLES~
浜崎あゆみ
エイベックス・エンタテインメント
2008-09-10




個人的評価 ★★★★★★★★☆☆ 8.5