エッセイ:僕の見た小室哲哉
プロローグ |第一章 |第二章|第三章|エピローグ
時代の寵児と称されるなど、音楽プロデューサーとして天下を極めた小室哲哉さん。
プロデュース作品のシングル、アルバムのミリオン多数。地位も名誉も金も手にしたはずだった。
エイベックスとのすれ違いに端を発したプロデューサー活動の低迷。
実業家としての欲でも出たのだろうか?有名投資家との事業、アジア展開、鈴木あみの騒動に絡みソニー・ミュージックとの契約終了およびプロデューサー契約前払金の一括返済されるなど次々と小室さんを襲った不運。
オルモックレコード(パイオニアLDC)とメディアファクトリーが共同でファクトリー・オルモックというレコード会社を設立しています。
テレビ番組で見つけた坂口実央や鈴木あみを獲得したオーディションの次点だった諸隈みゆきをMIYUKIとして持ってきたりしましたが本腰を入れたプロデュースはしませんでした。
MIYUKIは素材も良かったし、あみより歌も上手かっただけにもう少し真剣にプロデュースしてくれていれば…と残念でならない。結果が出る前にジャッジされてしまった。
結局ここでは、華原朋美のベスト盤以外結果は出せませんでした。
時を同じくして松浦勝人氏はEvery Little Thingが好調を続け、元恋人の浜崎あゆみも売れて、倖田來未やEXILEなど新人を投入している。
また、個人事務所でくすぶっていた鈴木あみを2005年に、アップフロントを離れた後藤真希を2008年に、スターダストをクビ同然に退社していた沢尻エリカを2010年に獲得している。
2002年以降の小室さんは?というとプロデューサーとして目立った活躍をすることがなくなっていた。
その間に安室奈美恵がアーティストとして独自の道を追求するため小室さんから離れている。
globeやTM NETWORKの活動を行なっていたが、全盛期の勢いはなくなっていた。
全盛期を含め活動をサポートしていたバーニングが小室さんから手を引くと、後ろ盾を失くし吉本興業に救いを求めることになった。
そして2008年11月4日、音楽プロデューサー小室哲哉は逮捕されてしまう。罪状は詐欺である。
JASRACに権利者として記載されているのは、あくまで作詞者、作曲者として記載されているというだけのものである。
記載されてるから必ず印税が小室さんに流れるというわけではない。曲ごとに契約の状態に差異があるのだ。
日本においては音楽出版社が作家と契約して管理しています。
そのほとんどか音楽出版社にお金が集まるようなシステムになっています。
実際は音楽出版社に権利があります。それが慣例なのです。
小室さんの作品も殆どがエイベックスや旧パイオニアLDC、ソニー・ミュージックアーティスツやバーニングパブリッシャーズといった他所の会社が権利を所有しています。
小室さんは権利ビジネスに興味がなかったほか、自身の音楽出版社を持っていませんでした。
何かの記事で見たのですが、全盛期の小室さんはプロデュース印税があり、それにプラスアルファでシングル曲1曲で何百万円というような契約をしていたそうです。
アルバム曲は若干下がるものの1曲いくらといった感じで請け負っていたとか。
それがシングルになるとそれなりの額を頂戴するというカラクリなので、アルバムからのシングルカットが多くなるのです。
というわけで、小室さんが制作した数々の楽曲で小室さんの手元に権利がある曲はほとんどありません。
それなのに小室さんは自身が制作した楽曲の権利を売却するとして話を持ちかけ5億円を受け取り、詐欺事件へと発展しました。
もちろんその裏に何があるかは分かりませんけど、大まかにそのような詐欺だったというわけです。
逮捕された小室哲哉氏はあの男と邂逅することになる。
そう、救いの手を差し伸べたのはエイベックスの会長となった松浦勝人その人でした。
松浦氏は小室さんに魅かれ、近づき、様々なヒットを産み出しエイベックスという船を共に動かしてきた。その過程で食い違いがあり、仲違いし離れた。
松浦さんは、小室さんが引き起こした詐欺事件の解決金を含む6億円を肩代わりしました。
減刑を求め意見書も出しています。
決して良好とはいえなかった関係の小室さんを助けようとしたのはなぜなのだろう?
それは本人にしか分からないことではあるけれど、そこに1mmでも友情があれば救いなのだけど。
ただ、その後の松浦さんのSNSでの言動を見ると、そう簡単な話ではないのかもしれないと思った。
2010年より小室さんは、エイベックス松浦勝人のもとで、エイベックスのいち作曲家として活動を再開する。
AAAや浜崎あゆみ、北乃きい、森進一などさまざまなアーティストに楽曲提供している。
個人的にこの時期の楽曲の中では超新星に書いた『Evidence of Luv』とか好きな曲はありました。
主に担当するのは作曲で、作詞はもちろん編曲も担当しないことのほうが多かったため、かつての絶対的なプロデューサーとしての立ち位置とは程遠く松浦勝人の配下の作曲家という印象が強かった。
そんななかで、小室さんが編曲まで担当した曲がある。浜崎あゆみのシングル表題曲『crossroad』がそれだ。
浜崎あゆみは松浦勝人が『エイベックス脱 小室哲哉』アーティストとして肝入りでデビューさせた人材。
デビュー当時は小室さんの元恋人である華原朋美を意識したプロモートをし、実際人気が落ちていた華原朋美に引導を渡したような格好である。
松浦さんと小室さんの交差点。
そういう意味では感慨深い楽曲なのだ。
松浦さんはこの後、浜崎あゆみで小室哲哉曲を次々と採用している。
個人的には『crossroad』や『Virgin Road』など良い曲もあると思うが、決して相性は良くないと思う。小室さんの曲である必要があるのだろつか?と感じるものもある。
小室さん自身、浜崎あゆみのために書くことは消極的な気がする。
提供曲『November』のメロディーは美里に歌ってほしかった。あれだけは。
▼浜崎あゆみ『Love songs』
カバー1曲を含む10曲が小室哲哉作曲となっている
小室さんは哀しすぎるほどプロデューサーなので、人のコントロール下で活動するというのはできない人だと思うんです。自分のインスピレーションこそが重要というか。
人に言われるがまま曲を作って、提出して、決裁を仰ぐというストレスは彼を苦しめたのではないでしょうか。
スキャンダルついでに引退したのも、現状に耐えられなかったというほうが強いんじゃないかな。
松浦さんとの間にある問題が解決していないのなら、そちらを片付けて本当の決別をしてほしいと思います。TMもエイベックスではなく、頭を下げてでもソニーでやるべきでしょう。
Daydream
いつか僕が 泳ぎ疲れて この海に沈む時は
先生から貸してもらったKiss Destinationのアルバムに『永遠と名付けてデイドリーム』のミュージックボックス&ストリングスのインストゥルメンタルが収録されていた。
数々の女性と関わってきた小室哲哉さん。
彼の遺伝子を次の世代に受け継いだのは吉田麻美だけであった。
▶︎Kiss Destination『AMARETTO』2001.4.25
どうか僕の 刻んだ調べを 永遠と名づけて
▶︎ボクが選ぶ小室哲哉作曲作品
好きな曲は数知れず。中でもかなり好きな曲を選び出してみました。
・Process / Ring
・HUMAN SYSTEM / TM NETWORK
・Lady Generation / 篠原涼子
・Just a real love night / 華原朋美
・LET'S DO THE MOTION / 安室奈美恵
・Feel Like dance / globe
・JUMP / 渡辺美里
・FACE / globe
・LONG & WINDING ROAD / KD
・by myself / hitomi
・all night long / 鈴木あみ
・WAVE OF LOVE / KD
・悲しいね / 渡辺美里
・November / 浜崎あゆみ
・THE POINT OF LOVER'S NIGHT / TM NETWORK
・here we are / 華原朋美
・afraid of tonight [TK mix]/ 華原朋美
・50/50 / 中山美穂
・Mystery of sound / 円谷憂子
・Destiny to love (愛する運命)/ trf
・Body Feels EXIT / 安室奈美恵
・SWEET 19 BLUES / 安室奈美恵
・BREAKIN' MY HEART / 鈴木あみ
・GooD LucK / 篠原涼子 with t.komuro
・THIS NIGHT / TM NETWORK
あとがき
小室さんは1995年頃から2003年まで高額納税者(長者番付)に名を連ねています。
trf globe 華原 安室と売れまくった1996、1997年は2年続けて納税額が10億円を超えていますから、それぞれ25億円近い収入があったことが推測できます。
少なくともこのわずか2年で50億稼いだんですよ。
例えば小室さんが小林武史さんのように自分のプロダクションや音楽出版社をつくって活動すれば半永久的にお金が集まるシステムができたことでしょう。
詐欺などしなくても済んだはずでしょう。
それを思うともったいなかったですよね。
胡散臭い海外投資や金銭感覚の崩壊が結果として小室さんを苦しめることになってしまいました。
小室さんの音楽に楽しませてもらってきた者としては、もう一度彼が輝く姿を観たいと思ってしまうんです。
美里や千里は現役で頑張っています。
★tetsuya komuro twitter
プロローグ |第一章 |第二章|第三章|エピローグ
時代の寵児と称されるなど、音楽プロデューサーとして天下を極めた小室哲哉さん。
プロデュース作品のシングル、アルバムのミリオン多数。地位も名誉も金も手にしたはずだった。
エイベックスとのすれ違いに端を発したプロデューサー活動の低迷。
実業家としての欲でも出たのだろうか?有名投資家との事業、アジア展開、鈴木あみの騒動に絡みソニー・ミュージックとの契約終了およびプロデューサー契約前払金の一括返済されるなど次々と小室さんを襲った不運。
オルモックレコード(パイオニアLDC)とメディアファクトリーが共同でファクトリー・オルモックというレコード会社を設立しています。
テレビ番組で見つけた坂口実央や鈴木あみを獲得したオーディションの次点だった諸隈みゆきをMIYUKIとして持ってきたりしましたが本腰を入れたプロデュースはしませんでした。
MIYUKIは素材も良かったし、あみより歌も上手かっただけにもう少し真剣にプロデュースしてくれていれば…と残念でならない。結果が出る前にジャッジされてしまった。
結局ここでは、華原朋美のベスト盤以外結果は出せませんでした。
時を同じくして松浦勝人氏はEvery Little Thingが好調を続け、元恋人の浜崎あゆみも売れて、倖田來未やEXILEなど新人を投入している。
また、個人事務所でくすぶっていた鈴木あみを2005年に、アップフロントを離れた後藤真希を2008年に、スターダストをクビ同然に退社していた沢尻エリカを2010年に獲得している。
2002年以降の小室さんは?というとプロデューサーとして目立った活躍をすることがなくなっていた。
その間に安室奈美恵がアーティストとして独自の道を追求するため小室さんから離れている。
globeやTM NETWORKの活動を行なっていたが、全盛期の勢いはなくなっていた。
全盛期を含め活動をサポートしていたバーニングが小室さんから手を引くと、後ろ盾を失くし吉本興業に救いを求めることになった。
そして2008年11月4日、音楽プロデューサー小室哲哉は逮捕されてしまう。罪状は詐欺である。
JASRACに権利者として記載されているのは、あくまで作詞者、作曲者として記載されているというだけのものである。
記載されてるから必ず印税が小室さんに流れるというわけではない。曲ごとに契約の状態に差異があるのだ。
日本においては音楽出版社が作家と契約して管理しています。
そのほとんどか音楽出版社にお金が集まるようなシステムになっています。
実際は音楽出版社に権利があります。それが慣例なのです。
小室さんの作品も殆どがエイベックスや旧パイオニアLDC、ソニー・ミュージックアーティスツやバーニングパブリッシャーズといった他所の会社が権利を所有しています。
小室さんは権利ビジネスに興味がなかったほか、自身の音楽出版社を持っていませんでした。
何かの記事で見たのですが、全盛期の小室さんはプロデュース印税があり、それにプラスアルファでシングル曲1曲で何百万円というような契約をしていたそうです。
アルバム曲は若干下がるものの1曲いくらといった感じで請け負っていたとか。
それがシングルになるとそれなりの額を頂戴するというカラクリなので、アルバムからのシングルカットが多くなるのです。
というわけで、小室さんが制作した数々の楽曲で小室さんの手元に権利がある曲はほとんどありません。
それなのに小室さんは自身が制作した楽曲の権利を売却するとして話を持ちかけ5億円を受け取り、詐欺事件へと発展しました。
もちろんその裏に何があるかは分かりませんけど、大まかにそのような詐欺だったというわけです。
逮捕された小室哲哉氏はあの男と邂逅することになる。
そう、救いの手を差し伸べたのはエイベックスの会長となった松浦勝人その人でした。
松浦氏は小室さんに魅かれ、近づき、様々なヒットを産み出しエイベックスという船を共に動かしてきた。その過程で食い違いがあり、仲違いし離れた。
松浦さんは、小室さんが引き起こした詐欺事件の解決金を含む6億円を肩代わりしました。
減刑を求め意見書も出しています。
決して良好とはいえなかった関係の小室さんを助けようとしたのはなぜなのだろう?
それは本人にしか分からないことではあるけれど、そこに1mmでも友情があれば救いなのだけど。
ただ、その後の松浦さんのSNSでの言動を見ると、そう簡単な話ではないのかもしれないと思った。
2010年より小室さんは、エイベックス松浦勝人のもとで、エイベックスのいち作曲家として活動を再開する。
AAAや浜崎あゆみ、北乃きい、森進一などさまざまなアーティストに楽曲提供している。
個人的にこの時期の楽曲の中では超新星に書いた『Evidence of Luv』とか好きな曲はありました。
主に担当するのは作曲で、作詞はもちろん編曲も担当しないことのほうが多かったため、かつての絶対的なプロデューサーとしての立ち位置とは程遠く松浦勝人の配下の作曲家という印象が強かった。
そんななかで、小室さんが編曲まで担当した曲がある。浜崎あゆみのシングル表題曲『crossroad』がそれだ。
浜崎あゆみは松浦勝人が『エイベックス脱 小室哲哉』アーティストとして肝入りでデビューさせた人材。
デビュー当時は小室さんの元恋人である華原朋美を意識したプロモートをし、実際人気が落ちていた華原朋美に引導を渡したような格好である。
松浦さんと小室さんの交差点。
そういう意味では感慨深い楽曲なのだ。
松浦さんはこの後、浜崎あゆみで小室哲哉曲を次々と採用している。
個人的には『crossroad』や『Virgin Road』など良い曲もあると思うが、決して相性は良くないと思う。小室さんの曲である必要があるのだろつか?と感じるものもある。
小室さん自身、浜崎あゆみのために書くことは消極的な気がする。
提供曲『November』のメロディーは美里に歌ってほしかった。あれだけは。
▼浜崎あゆみ『Love songs』
カバー1曲を含む10曲が小室哲哉作曲となっている
小室さんは哀しすぎるほどプロデューサーなので、人のコントロール下で活動するというのはできない人だと思うんです。自分のインスピレーションこそが重要というか。
人に言われるがまま曲を作って、提出して、決裁を仰ぐというストレスは彼を苦しめたのではないでしょうか。
スキャンダルついでに引退したのも、現状に耐えられなかったというほうが強いんじゃないかな。
松浦さんとの間にある問題が解決していないのなら、そちらを片付けて本当の決別をしてほしいと思います。TMもエイベックスではなく、頭を下げてでもソニーでやるべきでしょう。
Daydream
いつか僕が 泳ぎ疲れて この海に沈む時は
先生から貸してもらったKiss Destinationのアルバムに『永遠と名付けてデイドリーム』のミュージックボックス&ストリングスのインストゥルメンタルが収録されていた。
数々の女性と関わってきた小室哲哉さん。
彼の遺伝子を次の世代に受け継いだのは吉田麻美だけであった。
▶︎Kiss Destination『AMARETTO』2001.4.25
どうか僕の 刻んだ調べを 永遠と名づけて
▶︎ボクが選ぶ小室哲哉作曲作品
好きな曲は数知れず。中でもかなり好きな曲を選び出してみました。
・Process / Ring
・HUMAN SYSTEM / TM NETWORK
・Lady Generation / 篠原涼子
・Just a real love night / 華原朋美
・LET'S DO THE MOTION / 安室奈美恵
・Feel Like dance / globe
・JUMP / 渡辺美里
・FACE / globe
・LONG & WINDING ROAD / KD
・by myself / hitomi
・all night long / 鈴木あみ
・WAVE OF LOVE / KD
・悲しいね / 渡辺美里
・November / 浜崎あゆみ
・THE POINT OF LOVER'S NIGHT / TM NETWORK
・here we are / 華原朋美
・afraid of tonight [TK mix]/ 華原朋美
・50/50 / 中山美穂
・Mystery of sound / 円谷憂子
・Destiny to love (愛する運命)/ trf
・Body Feels EXIT / 安室奈美恵
・SWEET 19 BLUES / 安室奈美恵
・BREAKIN' MY HEART / 鈴木あみ
・GooD LucK / 篠原涼子 with t.komuro
・THIS NIGHT / TM NETWORK
あとがき
小室さんは1995年頃から2003年まで高額納税者(長者番付)に名を連ねています。
trf globe 華原 安室と売れまくった1996、1997年は2年続けて納税額が10億円を超えていますから、それぞれ25億円近い収入があったことが推測できます。
少なくともこのわずか2年で50億稼いだんですよ。
例えば小室さんが小林武史さんのように自分のプロダクションや音楽出版社をつくって活動すれば半永久的にお金が集まるシステムができたことでしょう。
詐欺などしなくても済んだはずでしょう。
それを思うともったいなかったですよね。
胡散臭い海外投資や金銭感覚の崩壊が結果として小室さんを苦しめることになってしまいました。
小室さんの音楽に楽しませてもらってきた者としては、もう一度彼が輝く姿を観たいと思ってしまうんです。
美里や千里は現役で頑張っています。
★tetsuya komuro twitter