TUBE 7th Studio Album
Beach Time
CBS/SONY RECORDS
1988年5月21日発売(CD:32DH 5057)

▼カタログ
・SME発足につき品番変更:1991年7月1日発売(CD:SRCL 2015)Sony Records
・レーベル移籍品番変更:2003年7月2日発売(CD:AICL 1456)Sony Music Associated Records
いずれもリマスターされていない

beachtime

Produced by Daikoh Nagato
最高3位・24.3万枚

TL

1. サヨナラMy Home Town
(作詞:前田亘輝・作曲:編曲:鈴木キサブロー)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
青春時代を年代ごとに回想しながら、ホームタウンを離れることを決めた男性の心模様を歌う。
何かと80年代っぽくて良い。


2. Sail Away Forever
(作詞:かまやつひろし・作曲:織田哲郎・編曲:葉山剛)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
故 かまやつひろしさんによる歌詞と時代を感じさせるキーボードの音色が印象的。歌詞も絵のように目に浮かんでくる。
アレンジの葉山剛は、のちに葉山たけしとしてビーイングの三大アレンジャーの一人となる。(明石昌夫、葉山たけし、池田大介)
まどろむ セロファンの海
時計の針も 動かない


3. Beach Time
(作詞:亜蘭知子・作曲:編曲:織田哲郎)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
1988年4月30日発売の7thシングル。最高4位。17.7万枚。
おなじみ亜蘭×織田コンビによるスマッシュヒット作。


4. Hot Night
(作詞:作曲:織田哲郎・編曲:春畑道哉)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
同日発売の織田哲郎のアルバム『SEASON』には『HOT NIGHT!』として収録されている。
織田さんが得意とする野性味溢れるロック。


5. 夕方チャンス到来
(作詞:亜蘭知子・作曲:織田哲郎・編曲:葉山剛)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
織田哲郎が考えるロックには、サックスが必須らしい。
スプリングスティーンとか好きなんだろうか。
TUBEの曲にはサックスが使われてる曲が意外に多い。


6. Dance In The Light
(作詞: 亜蘭知子・作曲:編曲:織田哲郎)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
DEENのアルバムにもそれらしいものがありましたが、この曲もシングル候補だったんでしょうね。
わかりやすいメロディーとアレンジは初期のTUBEの真骨頂といえるかもしれません。


7. 真夏のFriday Night
(作詞: 作曲:前田亘輝・編曲:TUBE)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
モータウン調の跳ねたリズムが夏の夜のワクワクを感じさせる。
どんな時代でも男は下半身で生きる生き物なのです。


8. Go Ready Go
(作詞:作曲:春畑道哉・編曲: 角野秀行・春畑道哉)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
本人達がやりたかったのは、こういう路線なんでしょう。
アルバムの1曲としては許されても、これをシングルにすることは許されるわけもなく。


9. Beach Boxer
(作詞:作曲:前田亘輝・編曲:TUBE)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
これも上に同じ。

10. 明日への道
(作詞:森山進治・作曲:織田哲郎・編曲:葉山剛)
(C) 1988 Be Kikakushitsu
恋人との将来を真剣に考える、男性の気持ちを歌う。
1994年にセルフ・カバー・バラードベストアルバム『Melodies&Memories』で、Dick Marxの本格的なストリングス・アレンジでカバーしている。
ボーカリストとしてのテクニックを身につけたことで、情感を込めつつ激しく歌っており、アレンジもストリングスや坪倉唯子や栗林誠一郎、生沢祐一、伊藤一義のコーラスを加えた豪華なものとなっている。
この曲を聴くなら再録音版のほうが良いかなと思う。というかあのアルバム良すぎる。


RV



DEENとFIELD OF VIEWそして今回のTUBE…彼らに共通するのは、いわゆるビーイング系のバンドだったということですが、もう一つ共通点があります。

それは何かと言うと、初期はプロの作家が作った曲を演っていて、徐々にメンバーオリジナルに移行していったという点です。

ビーイングの長戸プロデューサーが手掛けるアーティストの多くは、そういうパターンでした。
B’zや大黒摩季、T-BOLANなどの例外もありました。彼らは早々に自作のシングル表題曲を出しましたからね。

TUBEがメンバー自作に移っていくのは1989年前後のこと。
つまりそれまでは、全部とは言いませんが、アルバム曲まで織田さんらプロの作家に頼っていたんですね。
作詞は亜蘭知子、作曲は織田哲郎が定番でした。

バンドを始めた以上、自分達のオリジナル曲でキャリアを重ねていきたいのは当たり前のこと。
アルバム曲などではメンバー自作の作品を作っていたものの、1985年にデビューしてから、8枚のシングル表題曲の作曲は織田哲郎、栗林誠一郎、長戸氏そしてその他作曲家の作品であった。
1989年の9thシングル『SUMMER CITY』(前田亘輝 作詞、作曲)が初めてメンバーが作曲した作品となる。
とはいえ、それは亜蘭×織田の焼き直しのような面白みのない楽曲であり、メンバー自身も一皮むけることができない状況に苦悩していたという。
亜蘭×織田の良さを継承しながら、自分達のオリジナリティーをどう打ち出していくかが課題だった。

プロデューサー長戸大幸も、彼らが自作で活動していくことを後押ししてくれていたし、何より長戸氏自身TUBEだけに時間を割くことが出来なくなっていた。
B.B.QueensやB’zといった別プロジェクトも起動していたからだ。もちろんその先にはビーイングブームを控えていた。

1990年。アルバム制作の終盤に、長戸氏は久々に顔を見せ最終的なチェックと、シングル曲の選定を行った。
シングル候補の曲を長戸氏に聴かせたところ、長戸氏は彼らにこう言った。『いい曲だけど、これじゃ織田と亜蘭にかなわないよ』
この時の2曲は『N.A.T.S.U』と『THE SURFIN' IN THE WIND』だった。
長戸プロデューサーはシングルにはできない、と即却下し、更にメンバーに言った。
『こんな曲じゃ人のを受け継いで影響されたものでしかないじゃない。』
続いて『90's DOOR』を聴かせると『オマエら、まさかロック・バンドだと思ってるんじゃないだろうな。』とまで言われたという。メンバーは内心かなりキレていたという。

長戸氏がガットギターをかき鳴らし『お前らこんな曲はどうだ?』と提示したのが、それまでのTUBEのイメージとはかけ離れたダサいマイナーな曲だったという。(長戸氏は作曲家でもあり、三原順子のセクシー・ナイトや舘ひろしの朝まで踊ろうの作曲者でもある)
やけくそになったメンバーは、長戸プロデューサーの指示に沿った曲を作るものの、本人達は全く乗り気ではなかった。
曲への拒否反応から前田と春畑双方が作曲のクレジットを譲り合ったというエピソードがある。(最終的には共作扱い)リズム隊のメンバーにも笑われてしまった。

一方、長戸氏は『これだよ、これ!いいじゃないか』とシングルにすることを決めていた。
とはいえ、歌詞についてダメ出しがあった。
『やっぱりビューティフルワールドとか、カッコよすぎてオマエには似合わないよ。南の島でどうのこうのなんて前田には似合わない。』

長戸プロデューサーがメンバーに何を伝えたかったといえば、アンチテーゼである。長戸氏の思考はほぼ全てアンチテーゼがキーワードになっている。
極端な例を挙げるとZARDの初期の作品。一見綺麗なお姉さんの坂井泉水がハードロック風のサウンドに『汗の中でCRY』などとキワドイ歌詞を歌っている。

アンチテーゼ、すなわち正反対からの考え、逆説、
意外性…。
TUBEっぽくない曲をシングルにすること、これこそが長戸氏のアンチテーゼであった。
前田は♪Oh Summer Holidayなんてフレーズを持ってきたが、そんなのは亜蘭が書いてくるだろう。前田亘輝の言葉、着飾らない等身大の前田の言葉、それが♪あー夏休み だったのである。
CBSソニーの会議では、先の2曲が好評を得たが、最終的には長戸氏のプロデューサー判断で、シングルは『あー夏休み』に決まった。

メンバーに送った叱咤激励は、スマッシュヒットに繋がっていき『あー夏休み』はTUBEの、いや日本の夏の名曲として浸透した。そして、以後全ての曲はメンバーの自作になっていく。
アンチテーゼの面白さを知った前田亘輝は、次の年のシングルでは女目線のエロソング『さよならイエスタデイ』で開花する。
1993年をもって、長戸氏のプロデュースクレジットは消えてプロデュースはTUBEとなっていく。

数字的に見たTUBEの本格ブレイクは、オリジナル移行後のことで、奇遇にもビーイングのブーム期とぴったり重なっている。
ZARDやWANDS、大黒摩季、T-BOLANと大ヒットを乱発していたビーイング、長戸プロデューサーでしたが、そういう中でもTUBEのひとり立ちと成功は喜ばしい出来事だったのではないでしょうか。

このアルバムは、自作に移行する前のレッスン期間のようなもので、織田曲の間にメンバー曲が散りばめられている。
正直言えば、鈴木キサブローや織田哲郎の曲はプロの作家だけあって出来が良い!それはしかたない。
このように提供された曲で、メンバーが刺激を受けたり、曲の作り方を会得していった。
春畑さんにいたっては、作曲技術が高くなりZARDのシングル表題曲に起用されるなどしている。

これと8thアルバム『REMEMBER ME』はTUBEのアーリーイヤーズを辿る上で欠かせない作品だと思います。

参考文献
BLUE MEMORIES TUBE (学習研究社)
ISBN4-05-400354-0 (c) 1994 Gakken



個人的評価 ★★★★★★★★☆☆ 8.5