KAN 5th Studio Album
野球選手が夢だった。
POLYDOR.K.K. ポリドール株式会社
1990年7月25日発売(CD : POCH-1015)

▼カタログ
再発売:2017年10月27日発売(CD:UFWT-1005)アップフロントワークス
再発売:2013年7月24日発売(SHM-CD:UPCY-9343)ユニバーサルミュージック

kan

Executive Producer : JIN MAEDA (POLYDOR K.K.)
最高2位・72.3万枚

TL

1. 愛は勝つ
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 TV Asahi Music Co.,LTD. & NICHION,INC.

アルバムからのリカットで、1990年9月1日発売の6thシングル。テレビ朝日系『クイズおもしろTV』テーマ曲。

ヒットのきっかけは、山田邦子が司会を務めていた『邦ちゃんのやまだかつてないTV』で取り上げられたこと。
1990年12月頃からチャートを急上昇していき、年を越す頃にはミリオン達成となった。
アルバム曲が大化けして、最高1位、201.2万枚というモンスター級のヒットになりました。
そのような経緯から、番組の企画ユニットやまだかつてないWinkに『さよならだけどさよならじゃない』を作曲提供している。それが『愛は勝つ』っぽくて良曲。26.9万枚。

Drums:島村英二、Bass:高水健司、Guitar:今剛、Synthesizer&Piano:小林信吾、Chorus:J.T JAMM&WORNELL JONES

2. 恋する2人の834km
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

とびきりポップ。
Drums:江口信夫、Bass:美久月千晴、Guitar:今剛、Synthesizer:小林信吾、Sax:Jake.H. Concepcion

3. けやき通りがいろづく頃
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

色々登場人物が出てきて、にぎやかです。
1. 僕(主人公)
2. 君
3. あいつ=君と僕の共通の友達で君に想いを寄せている
4. 彼=君の好きな人
5. 僕の好きな人=君(?)
君は、あいつから告白されていた。でも君は別の彼に想いを寄せていて、恋が実った。
あいつに断りにくいだろうから、あいつには僕から事情を話しておく。
君が彼を愛していたように、あいつも君を愛していた。
その裏には、あいつ同様僕も君を愛してたんだよというやるせなさを感じました。
つまり、僕の好きな人=君、なのかなあと思った。
あいつを忘れないでいてあげて、それはあいつと同じ立場の自分も忘れないでという。
いろんな解釈ができるので、聴き手それぞれの解釈で良いのかなと思います。
曲はピアノマンだという感じでカッコいいです。

Drums:江口信夫、Bass:高水健司、Guitar:今剛、Synthesizer&Piano:小林信吾、Strings:金子飛鳥グループ、Piano Solo:KAN、Harmonica:八木信夫

4. 青春国道202
(作詞:作曲:KAN・編曲:佐藤準)
(C) 1990 NICHION,INC.

シングル『健全 安全 好青年』カップリング。こちらもポップ。
この年、アレンジャーの佐藤準さんがプロデュースしていた今井美樹のアルバム『retour』に『雨にキッスの花束を』『新しい街で』を作曲提供している。

Drums:山木秀夫、Bass:美久月千晴、Guitar:松原正樹、Synthesizer:佐藤準、Piano:国吉良一

5. 千歳
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

北海道のご当地ソング、千歳空港で新しい恋人と一緒の元カノと再会したという歌ですね。
淡々と歌ってますけど、結構せつないです。女は怖い。(笑)
打ち込みの軽さが雪のふわふわを連想させる。

Keyboards:小林信吾、Chorus:KAN

6. Happy Birthday
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

80年代の洋楽ポップス風。
Guitar Solo:松原正樹、Keyboards:小林信吾、Harmonica:八木信夫、Chorus:J.T JAMM&WORNELL JONES

7. ぼくたちのEaster
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

サックスと重厚なコーラスが耳に残る。よりを戻したいともとれるし、愛を再確認してるともとれる。
Guitar:松原正樹、Keyboards:小林信吾、Sax:Jake.H.Concepcion、Chorus:J.T JAMM&WORNELL JONES

8. 健全 安全 好青年
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

7thシングル。
Guitar:今剛、Keyboards:小林信吾、Chorus:下成佐登子&KAN

9. 1989 (A Ballade of Bobby & Olivia)
(作詞:作曲:KAN・編曲:小林信吾、KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

組曲風に構成されているストーリー性の高い楽曲、ビリージョエルの『Seanes From An Itallian Restaurant』を模して制作されたとのことだがさほど似てない。

1985年、二人は別れる。1988年、オリビアが誰かと暮らしてると噂を聞く。
そして1989年、別れたオリビアから電話がきたところから始まる。

冒頭と最後の部分は、ボビーの心情。つまりぼくはボビーということになる。
その間は、ボビーとオリビアの恋愛物語が客観的に歌われている。
全然関係ないんだけど、この曲を聴くと桜井和寿を思い浮かべてしまう。彼の声で聴いてみたいというか。
ボビーが成功して、オリビアと離れていったくだりに彼を重ねてしまう。ファンの方すいません。

最近はぼくもずっと好きなひとがいる
いいこだよ
いつも本気だよ でもふりむいてくれなくて
ぼくらしいだろう It is 1989

Drums:江口信夫、Bass:美久月千晴、Guitar:今剛、Synthesizer&Piano:小林信吾、Strings:金子飛鳥グループ、Sax:Jake.H.Concepcion

10. 君が好き胸が痛い
(作詞:作曲:編曲:KAN)
(C) 1990 NICHION,INC.

ピアノ弾き語りによるバラード。
想いを寄せる女性への熱烈な愛を歌う。

Piano:KAN

RV

名曲や名盤は時代を超える、これは間違いない



通算5作目となるアルバム。
シングル『愛は勝つ』のヒットと連動して、この作品は売り上げを伸ばし70万枚を超えるヒットになりました。

全体を通してポップな感じで、聴きやすいです。
『けやき通りがいろづく頃』『1989 (A Ballade of Bobby & Olivia』なんかは彼の真骨頂なのかなと。
自分が一番好きなのは『君が好き胸が痛い』ですが。
『愛は勝つ』だけではないと思わせてくれる作品といえるのではないでしょうか。

KANさんは当時から現在までアップフロントエージェンシー所属です。
アップフロントというと、ハロープロジェクトのおかげでアイドル事務所のように思われてしまっている気がしなくもありません。
けれどアップフロントは、もともとヤングジャパングループ(アリス、バンバン、海援隊etc)というガチの音楽系の事務所をルーツに持っているプロダクションです。
80年代、90年代は谷村有美や古内東子など正統派のシンガーソングライターとを送り出しています。
もちろん今回紹介しているKANもその一人です。
アップフロントという組織の中で、彼は功労者として安定した活動が保証されているのでしょうね。

アップフロントには、再び音楽性勝負のシンガーソングライターを見つけてきてほしいですね。

個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 8