松任谷正隆 1st Studio Album
夜の旅人-ENDLESS FLIGHT-
PANAM / 日本クラウン
2015年11月4日発売(Blu-spec CD2 : CRCP-20527)
2015 Remastered by 間部敬克(CROWN)

▼カタログ
オリジナル:1977年11月25日(LP : GW-4033)クラウンレコード
CD化:1990年7月21日(CD : CRCP-28007 )日本クラウン
CD選書 : 1995年11月1日(CD : CRCP-149)日本クラウン

CRCP-20527

Produced by Masataka Matsutoya (Kirara Music Production)
Co-Produced by Seiji Kuniyoshi(Crown Record)

TL

1. 沈黙の時間
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.

タイトルからして暗い感じの曲なのかと思いきや、そうではなかった。
アルバムの中でもパワフルな正隆さんのボーカルが堪能できる曲。
ミュージシャンがミュージシャンの視点でスタジオの空気を描く歌詞というのは余り多くないじゃないですか。
やはり目のつけどころが由実さんですね。


2. 荒涼
ゲストボーカル:大貫妙子
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 ALFA MUSIC

大貫妙子さんをゲストボーカルに迎えた楽曲。
とても寂しい曲。
歌詞中にロシアが出てくるので稚内あたりのイメージだろうか。
石川啄木が詠んだ句では、さいはての駅は釧路ということになってるのでもしかしたら釧路方面かも知れない。
JASRACには作詞:荒井由実・作曲:荒井由実、松任谷正隆と登録されている。


3. 煙草を消して
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.

こんな感じの曲は由実さんの曲にもあったと思います。


4. 霜の降りた朝
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 KIRARA MUSIC PUBLISHER

初期ミスチルにありそうなイントロで始まるバラード。
フォークが幅を利かせていたという時代、そういう時代にここまで洗練された歌詞とサウンドに到達しているという点は特筆だと思う。
正隆氏のボーカルも穏やかでまったりしてて、良いです。
かまやつひろしさん『WALK AGAIN』に収録。


5. もう二度と
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.

アダルティな感じのスローソング。

6. 気づいたときは遅いもの
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.

正隆さんがこういうメロディーを描く人だと知ったことが衝撃だった。
なぜかというと、由実さんが作ったと言っても誰も疑わないほどユーミンぽいから。


7. 乗り遅れた男
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.



8. Hong Kong Night Sight
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 KIRARA MUSIC PUBLISHER

由実さんが『水の中のASIAへ』でカバーしているのでこのアルバムでは知名度が高い曲。例えばこれを作曲が由実さんとクレジットしても誰も疑わないだろう。僕の衝撃はそこだ。
後半の正隆さんのボーカルがちょっと覚醒ぎみでやばい(笑)



9. 夜の旅人
(作詞:松任谷由実・作曲:編曲:松任谷正隆)
(C) 1977 CROWN MUSIC,INC.

アルバムタイトル曲。
由実さんの曲はバラードでもいきなりジャーンプ!みたいな特徴がありますが、正隆さんが作る曲はiichikoのCMで流れてきそうな感じというか来生たかおさんのようなドビュッシーのようなノスタルジー系な風合いで穏やかな感じが見られる。
この曲もストリングスを効かせた大サビでさえ、聴くものをまったりさせてくれます。
この曲マッキーのボーカルで聴いてみたい。すごく合いそう。
今のユーミンの声でも聴いてみたい。
2009年にHARCOさんがアルバム『tobiuo piano』でカバーしている。


Credits
Rhythm section "Tin Pan Alley"
Drums:Tatso Hayashi
Bass:Kenji Takamizu, Haruomi Hosono
Electric Guitars:Shigeru Suzuki
Acoustic Guitars:Ryusuke Seto, Ted M. Gibson(吉川忠英)
Ukulele&Flat Mandolin:Ted M. Gibson(吉川忠英)
Percussion:Nobu Saitoh
Keyboards:Masataka Matsutoya
Alto&Soprano Sax Solo:Takeru Muraoka
Tenor Sax Solo:Hiroshi Okazaki
Trumpet:Kohji Hadori, Shin Kazuhara
Trombone:Eiji Arai, Yasuo Hirauchi, Sumio Okada, Harumi Mita
Saxophone:Takeru Muraoka, Hideshi Toki, Kiyoshi Saitoh, Ichiro Mimori, Masao Suzuki, Shunzo Sunahara
Flute:Shieo Suzuki, Seiji Kuniyoshi
Oboe:Hiroyuki Ban
Horn:Sakae Yamada
Harp:Keiko Yamakawa
Chorus:Time Five, Orange Blossoms
Strings:Tomato Strings Section

Arranged &Conducted by Masataka Matsutoya
This Album is dedicated to Birdy

RV



松任谷由実さんの旦那様でありプロデューサーでもある正隆さんが1977年に発表したソロアルバムです。
CD選書で再発していましたが、正隆さんの意思で廃盤となっていました。
今回2015年盤はリマスターが施され、Blu-spec CD2での再発売となりました。

なんとなくではありますが1970年代の日本クラウンといえば、かぐや姫・風・イルカさんなどフォーク歌手と演歌っていうイメージがします。
けれどこの作品、歌詞に『赤い手拭い』『三畳一間の下宿』は出てきません。(笑)そりゃそうだ、歌詞は全て由実さんが書いています。
数多くのジャズ作品に影響を受けてきたという正隆さんのオマージュが詰まった作品になっているようです。
ライナーには正隆さんのインタビューが掲載されていてタネ明かし(?)されています。

どう考えてもリアルタイムではありません。
当然のことながらTin Pan Alleyリアルタイムでは知りません。なのでリアルタイムで聴いてきた人のような感想は書けない。
リアルタイムで見ていないものを見てきたように書くのはおかしいですしね。
思ったのはサウンド的な風合いが荒井由実さんやHi-Fi Setと似ているなあということ。
印象に残ったのはタイトル曲の歌詞の最後。

どこへ行くかは わからないけれど
どこから来たかわかるはず


由実さんファンで、由実さんに才能があったから、由実さんの力量だけで成功したんだと信じて疑いませんでした。むしろ正隆さんは由実さんに寄生してるとまで思ってしまったこともあります。
この作品を聴いて、それは誤った先入観、主観だと思いました。
由実さんの作ったスープを味見し整える役割の正隆さんがいたから、由実さんの成功は在ったのだと。
作曲してることは知ってましたが、アレンジャーとしての正隆さんしか知りませんでした。
この作品を通じて、メロディーメーカーとしても相当な力量があることを知り、ある意味で衝撃を受けています。

個人的評価:★★★★★★★☆☆☆ 7