大江千里 - ミセイネン
大江千里 3rd Album
未成年
GT music / Sony Music Direct (Japan) Inc.
2013年4月1日発売(Blu-spec CD2 : MHCL 30021)
REMASTERING

▼カタログ
・オリジナル:1985年3月21日発売(LP : 28-3H-157 / CT)EPIC/SONY CBS/SONY Group
・SME品番:1991年11月1日発売(CD : ESCB 1242)Epic/Sony Records Sony Music Entertainment (Japan) Inc.

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Produced by Nobuyuki Shimizu
produced & arrangement by Nobuyuki Shimizu
Executive Producer : Yoji Kosaka
最高5位・11.8万枚

TL
1. REAL
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Japan Central Music,LTD.

7thシングル。最高35位、2.9万枚。
男の激しさと儚さを色濃く映し出しているナンバー。別れた相手に投げかける言葉が同時に自分自身への問いかけにもなっているところがミソ。
効果的にシンセサイザーが使われているが、今聴くと質感は古臭く感じてしまう。
ニュー・リミックスベスト盤『Sloppy Joe』収録。


2. SEXUALITY
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 FM SOUNDS INC.

青春ポップス。マッキーは確実に聴いてただろうね。

3. A MOONLIGHT EPISODE
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Sony Music Artists Inc.

いまいちよくわからない?!ユニークなふわふわ曲。聴くたびにクセになる。
90年初頭の槇原敬之さんの楽曲はやっぱり千里さんに影響されてるんだなと感じてしまう。


4. 真冬のランドリエ
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1984 Japan Central Music,LTD.

ユーミンっぽい雰囲気の楽曲。
このアレンジに影響されたと思うのが槇原敬之さんの『どんなときも。』のイントロ部とアレンジ。
ニヤリ似すぎ!!特に最後の部分(イントロの〆)はやばい領域。
もう恋などしない、のフレーズも千里さんが先なのです。
マッキーは『冬のコインランドリー』って曲も作ってるからよほど好きなんだと思う。
どうせならこれをカバーすべきでしょう。


5. もう一度 X'mas
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Sony Music Artists Inc.

近未来的なサウンド(当時?)に乗せたごきげんなクリスマス・ナンバー。
ホリデー・シーズンを彩る曲の多さも千里さんの特徴ですね。
メロディーはポップスの貴公子こと千ちゃんの真骨頂ともいえますね。


6. 赤茶色のプレッピー
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Sony Music Artists Inc.

まさにクリスマスソングと思える、温かくて、かわいいナンバー。
ウォール・オブ・サウンドの影響も感じる。


7. プールサイド
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Sony Music Artists Inc.

随所にクラシックの要素が散りばめられた清水信之さんのアレンジが秀逸。
歌詞はやはり千里さん、マッキーファンが見たら似通った作風にドキっとするかもね。


8. 渚のONE-SIDE SUMMER
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Japan Central Music,LTD.

男版ユーミンと言われた人だけのことはありますね。アイテムをからめた風景描写が的確で曲に絵が見えてきます。地味だけど良い曲だね。
シングル『REAL』のカップリング。


9. 十人十色
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1984 Japan Central Music,LTD.

6thシングル。最高58位、4.9万枚。
こちらもポップスの貴公子千ちゃんの真骨頂。
ラッシュ、改札、手を振る・・・マッキーの『EACH OTHER』(1991年)にも出てくる歌詞だ。
ライブで盛り上がる曲でした。


10. ♮ナチュラル
(作詞:作曲:大江千里 編曲:清水信之)
(C) 1985 Sony Music Artists Inc.

一転、重苦しいバラードで〆る。
狂おしい自分の現実(ありのままの姿)と向き合う。青春の影。
曲中のメトロノーム風の音(?)が主人公の焦りや、苛立ちをリアルに感じさせる効果が。
主人公の根底に流れる痛みとは比較にならないけれど、曲の重さという意味で近いのはマッキーだと『The Fog』あたりだろうか。(マッキーは声に千里さんが持つシリアスさみたいなものが無いので、重い曲が軽く聞こえてしまう。中でも『The Fog』は頑張ったほうだけど)


All Instruments : 清水信之
Sax : Jake H. Concepcion
Trumpet : 数原晋
Guitar : 佐橋佳幸
Strings : 金子飛鳥グループ
Computer Programming : 遠山淳、松武秀樹
Chorus : 大江千里 and EPO

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清水信之氏編曲・プロデュースの3rdアルバム。
90年代のアルバム『APOLLO』やシングル『格好悪いふられ方』のヒットが有名な大江千里さん。
売上枚数という側面から鑑みると、彼の全盛期は90年代になるのだけど、上の世代の人達は80年代に千里さんが産み出した名作アルバムの印象が強いのかもしれない。今作もその中の一つになる。

ライブの定番曲にもなっていたポップな千里をみせた『十人十色』や男の感情を飾らずに打ち出した『REAL』などにみられる『とびきりなポップさ』と『湿り気のある激しさ』という軸が確立されている。
やはりアレンジャー清水信之さんとの出会いが大きいのかなと。

日本のピアノマンとして槇原敬之さんやKANさんといった後進の道を切り開いた存在のひとりだろう。
特に槇原敬之さんは強く影響を受けているのだと思う。もちろん本人も認めているし『Rain』『Bedtime Stories』等をカバーしている、シンセオペレーターだった飯田高広さんは清水信之さんの元アシスタント、ギターは佐橋さんとか起用してるし。さらに言えばカメラマンも。

皮肉なことに、千里さんのセールスが一番高まった90年代初頭に槇原敬之さんがデビューし、早々と『どんなときも。』でブレイクするという状況になり、両者の方向性とファン層が被ったということもあって、千里さんのセールスは坂道を転がるかのように落ちていった。
自分が影響を与えたアーティストによって自身の活動が縮小していくのはとても悲しい話ですが、売れたほうが残るのはこの世界の宿命です。
それでも自分のレーベルStationKids Records(販売:Sony Music Distribution)を立ち上げ2007年頃まで活動していた。(のちにマッキーも自主レーベル作りました)

ただ、大江千里さんという存在が切り開いた下地がなければ槇原敬之という存在もシーンで受け入れられなかったとも思う。
これを見れば、いかにマッキーが千里さんを好きだったかが判るよね。(これをやったのは、ある意味すごいと思う)

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左『OLYMPIC』/大江千里(Epic) 右『悲しみなんて何の意味もないと思っていた』/槇原敬之(Buppu/avex)

現在はポップスとは距離を置きジャズピアニストとしての道を究めている千里さん、彼が残したポップスは今なお輝きを失っていない。
私は横浜の最後のコンサートに行けたことを誇りに思っている。

個人的評価:★★★★★★★★★☆ 9

2014年に書いた記事に加筆したものになります

未成年
Sony Music Direct(Japan)Inc.
2013-06-05