大滝詠一 Studio Album
A LONG VACATION(ロング・バケイション)20th Edition
(P) & (C) Licensed by THE NIAGARA ENTERPRISE
Sony Records / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.
2001年3月21日発売(CD : SRCL 5000)
REMASTERING

▼カタログ
・オリジナル:1981年3月21日発売(LP/CT)THE NIAGARA ENTERPRISES CBS/Sony Group Inc.
・CD化:1982年10月1日発売(CD : 35DH-1)THE NIAGARA ENTERPRISES CBS/Sony Group Inc.
・リマスター:1989年6月1日発売(CD : 27DH 5300 / 1989 Remaster)THE NIAGARA ENTERPRISES CBS/Sony Group Inc
・CD選書:1991年3月21日発売(CD : CSCL 1661)THE NIAGARA ENTERPRISES CBS/SONY RECORDS
・30th Edition:2011年3月21日発売(2CD : SRCL 8001,8002 / 2011 Remaster)THE NIAGARA ENTERPRISES / Sony Music Records Inc.


ALV

Produced by EIICHI OHTAKI
最高13位・9.6万枚
最高2位・125万枚以上(カタログ合算)

TL

1. 君は天然色
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内(大瀧詠一))
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

7thシングル。色々なCMで何回も流れているし、ドラマでも流れていたので知名度の高い楽曲ですよね。
フィル・スペクターが世界に放ったウォール・オブ・サウンドのお手本のような作品なのではないでしょうか。
イメージ的には夏なんだけど、この手のサウンドってホリデイ・シーズンの曲にもよく見られる気がする。


2. Violet Motel
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

優雅で上品なサウンドに大滝さんの甘い声、そこに男らしい歌詞が妙なコントラストに。表情豊かな大滝さんのヴォーカルが印象的。

3. カナリア諸島にて
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

イントロで青い空が見えて来るリゾート感あふれる爽やかなナンバー。
カナリア諸島とは北西アフリカ沖にある群島だそうです。ちょっと前にCMで流れていたような…。


4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語
(作詞:作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

大滝詠一さんのもう一つの魅力であるコミック系のナンバー。
ただのコミックで終わるわけではなく、ポップスとして完成されているところがさすがです。


5. 我が心のピンボール
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

ヴォーカルに表情がある、といいましたけど曲ごとに歌い方が変わっているんですよね。

6. 雨のウェンズデイ
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

悲しげな歌は失恋ソングじゃなきゃ!みたいな先入観を打ち消してくれる。
現在進行形のカップルでも、いつも楽しいばかりじゃない。
天気同様、曇り空のときもある。でも寄り添うのは愛し合ってるから。


7. スピーチ・バルーン
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

どこまでもせつない。

8. 恋するカレン
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

イントロ殺し。
想いを寄せるカレンをパーティーだろうか見かけた僕。
自分とは違う男性と踊る姿に、失恋を認識し、狂おしい胸の内が展開されてゆく。
色々な捉え方が出来ると思います。
失恋した男の悔しさや嫉妬を表現している、とか自分のような(優しい)男を選ばなかった悔しさなんだ、とか
大滝さんの甘いボーカルが、よりせつなさ、悲哀を感じさせる。
かたちのない優しさ
それよりも見せかけの魅力を選んだ


9. FUN × 4
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1981 THE NIAGARA ENTERPRISES.

せつなさの余韻を引きずることなく、再びコミック色のあるナンバーに。

10. さらばシベリア鉄道
(作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:多羅尾伴内)
(C) 1980 FUJI PACIFIC MUSIC ,INC. & Watanabe Music Publishing Co .,ltd.

最後はシリアス路線。ボーナストラックのような印象を受ける。
これは太田裕美さんの19thシングルだったそう。このあとのインスト集ではカットされている。


Bonus Tracks『Sing ALONG VACATION』 [Instrumental]

11. 君は天然色
12. Violet Motel
13. カナリア諸島にて
14. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語
15. 我が心のピンボール
16. 雨のウェンズデイ
17. スピーチ・バルーン
18. 恋するカレン
19. FUN × 4
(編曲:多羅尾伴内)

RV



音楽が季節と寄り添っていた時代。
人々の暮らしや娯楽にサウンドトラックとして存在していた80年代そして90年代。
アーティストが魅せる世界観がファンの生活に影響を与え、ファンを育てていた。
僕自身、そんな時代の空気を辛うじて感じることができてよかったと思う。

時代は流れ、大きな流行は細分化の一途をたどり、大人気のアーティストよりも中堅クラスのアーティストが増殖している。
アルバム一枚の存在感が薄れて、リスナーは好きな曲を取り出して手軽に音楽を聴くというスタイルに変化している。

現在も時々CMなんかで起用される大滝さんの楽曲。『君は天然色』は余りに有名。
日本のアーティスト、特にエバーグリーンを走ってる小田和正さん、松任谷由実さんや山下達郎さんのような人たちは止まることをせず走り続けている。
毎年とはいかないが、新作を作り、コンサートで方々を回り、それを繰り返している。
大滝さんはそうではなかった。
むしろ新作を作るより、過去の作品に目を向けて自分自身の満足を追求していたのではないだろうか。
それも一つのアーティストの姿であり、どちらが正しいということはないのだけど、目的地は同じような気がする。

『ロング・バケーション』
アートワーク通りのリゾートアルバム。
これからの季節にぴったりのサウンドトラック。
コロナ騒動が収まらない今、バカンスに出かけられなくても、この作品を聴いて心のバカンスを楽しんでも良いのでは?
コバルトの海と空、白い砂…サウンドからイメージできるとっておきのリゾートを楽しんでみてはいかがでしょうか?

来年40周年盤出るのかな?

個人的評価:★★★★★★★★★☆ 9