ZARD 6th Studio Album
forever you
B-Gram RECORDS / J-DISC
1995年3月10日発売(CD : JBCJ-1001)

▼カタログ
・30th Anniversary Remastered (CD : JBCJ-9074・B-Gram)2021.9.15

foreveryou

Produced by B.M.F
最高1位・約177.4万枚

TL

1. 今すぐ会いに来て
(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎・編曲:明石昌夫
(C) 1995 Be Kikakushitsu

いきなり始まる歌唱が印象的。何処かノスタルジーの漂うビートルズ『Your mother should know』ライクな憂いを秘めたUKサウンドを聴かせてくれる。イントロダクションとしての役割、存在感も果たしている。
ZARD CD&DVD COLLECTION Vol.7にてオリジナル・カラオケが収録されていて、コーラスが栗林誠一郎さんだと確認できた。 またこの曲は坂井さん自身もコーラスを入れている。


2. ハイヒール脱ぎ捨てて
(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎・編曲:明石昌夫)
(C) 1995 Be Kikakushitsu

従来のZARDサウンドをブラッシュ・アップした定番フォーマット楽曲。イントロのサックスが鮮やかに響き渡る。
歌詞は未練を残した女性のせつなさ。前作で見られたぶりっ子歌唱は息を潜めている。
ZARD CD&DVD COLLECTION Vol.11にてオリジナル・カラオケが収録されていて、コーラスが栗林誠一郎さんだということがはっきり確認できた。


3. Forever you
(作詞:坂井泉水・作曲:織田哲郎・編曲:明石昌夫)
(C) 1995 Be Kikakushitsu

アルバムタイトル曲。
坂井泉水の人生を映し出したかのような、リアリティーのある歌詞が響き、サウンドはアコースティックを基調に、壮大で深みのある力作バラードに仕上がっている。
力強いドラムが生っぽく感じる。青山さんとかデニーなのかなと。
のちに、ラジオ番組でプロデューサー長戸大幸氏が明らかにしたところによると、ZARDの認知度が上がりタブロイド紙などで坂井さんの過去が暴露されるようになり、長戸氏が『歌でもいいから言い訳でもしたら?』と言った後に書いてきた歌詞だったそうです。
彼女は過去の仕事に言い訳などせず、グラビアでもレースクイーンでも全ての仕事を一生懸命やってきたと答えたそうです。


4. もう逃げたりしないわ 想い出から
(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎・編曲:明石昌夫)
(C) 1995 Be Kikakushitsu

こちらも『ハイヒール脱ぎ捨てて』同様、ZARD定番フォーマットですよね。
両者に共通しているのは、従来のビーイングの打ち込みに見られた、余りに軽い音選びから少し厚みのある音選びにシフトしてる点です。


5. あなたを感じていたい
(作詞:坂井泉水、作曲:編曲:織田哲郎)
(C) 1994 Be Kikakushitsu & Mr. Music

最高3位、73.8万枚。ドコモのポケベルCMソング。
ZARDの楽曲において織田哲郎が編曲まで担当したのは、唯一この曲のみとなっている。
サビのアレンジが練りに練られており、さすが織田哲郎といったところ。
CMでオンエアされたものとはアレンジが違っており、お蔵入り版がある可能性がきわめて高い。




6. 気楽に行こう
(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎・編曲:池田大介)
(C) 1995 Be Kikakushitsu

アルバム用の新曲の一つで、隠れた名曲。
池田大介さんらしいシンプルなバンド感のあるアレンジの中にも、作り込まれた管弦アレンジがキラリ。


7. I'm in love
(作詞:坂井泉水・作曲:織田哲郎・編曲:池田大介)
(C) 1994 Be Kikakushitsu

タワーレコード渋谷スーパーストアのCMソングとしてオンエアされたアルバム用の新曲でハードなロックナンバー。
大黒摩季、FEEL SO BADの川島だりあ、TWINZERの生沢佑一という豪華なバックコーラスが参加し、曲の雰囲気を最大限演出した。坂井泉水のボーカルも良い感じ。


8. こんなにそばに居るのに
(作詞:坂井泉水・作曲:栗林誠一郎・編曲:明石昌夫、池田大介)
(C) 1994 Be Kikakushitsu

最高2位、78.8万枚。三貴 ブティックJOY CMソング。
先行シングルとして大ヒットしたこの曲はアルバム収録にあたり、リアレンジが施され、明石昌夫によるベーシックなトラックにブラスを大胆に挿入するなどの試みが見られ、よりスピード感のある、臨場感のあるトラックに仕上がっている。
おそらくコーラスは栗林誠一郎さん。




9. Just believe in love
(作詞:坂井泉水・作曲:春畑道哉・編曲:葉山たけし)
(C) 1995 NICHION,INC. & Be Kikakushitsu

南野陽子主演ドラマ TBS系『揺れる想い』主題歌。作曲はTUBEのギタリスト春畑道哉さんによるバラード。最高2位、65.6万枚。
アレンジの葉山たけしさんはこのアルバムでは、この曲のみの担当になっている。ドラミングへのこだわりが強いアレンジャー。個人的に好きな歌詞です。
透き通ったコーラスは栗林誠一郎さんだと思う。

微笑みも忘れたくなるこの都会(まち)で
つまずくことさえも 明日への希望へと変えてゆこう


10. 瞳そらさないで
(作詞:坂井泉水・作曲:織田哲郎・編曲:明石昌夫)
(C) 1994 Be Kikakushitsu

個人的に、この終わり方が好きでした。
春に向かう時期に発売したアルバムの終わりが夏の午後を連想させるボサノヴァって素敵じゃないですか。
訪れるやがて来る温かいときめきの季節を待つように…もう一度。
DEENが1994年に5thシングルとして放った、大塚製薬ポカリスエットCMソング。作詞を坂井泉水が担当し、ミリオンヒットさせた大ヒット曲。


RV

forever you 【30th Anniversary Remasterd】
ZARD
ビーグラムレコーズ
2021-09-15



90年代のビーイング系のCDは、チャート対策から発売日を直前まで延期したり、弄ったりというのが日常的に行われておりました。
ところがこちらの作品は、一度決定した発売日を変更することなく発売されています。
この商品はビーイングが自社流通網を構築する目的で設立した販売会社ジェイディスクの第一弾でした。というわけで、延期というのはできなかったというのが実情のようです。
2年前のこの日、DEENのデビューシングル『このまま君だけを奪い去りたい』が発売されました。厳密にいえばビーグラムレコーズ第一弾がこの曲になります。
本来は1993年1月27日発売のZARDの『負けないで』が正真正銘の第一弾になるはずでしたが、ポリドール社との契約の都合上、企画品番BGDH-1001は空番となりました。なのでDEENはBGDH-1002となります。

92年頃から勢いを増し、音楽制作から流通の全てを自社で賄うという野望をあっさりとやって退けたビーイング。
膨大なお金が舞い込み、数多くのアーティストを輩出します。
エイベックスや小室哲哉さんの時代もセールスは凄かったんですが、ビーイングはB'zやZARDのみならず、T-BOLAN、WANDSにDEEN、大黒摩季と皆が皆荒れていましたから、相当な稼ぎだったと思われます。

大黒摩季やWANDSを自前のレーベルに移籍させるなど、やや強欲ながらも目的のために突き進んでゆく精神はやはりインディペンデントのそれを感じます。

さて、このアルバムのタイトルは『forever you』です。
タイトル曲は、自身の失敗や経験した過去を誇りとしながら、一つの愛に生きてゆこうとする女性の心理を歌ったもので、ボーカリスト坂井泉水の人生がくっきりと浮き上がって来ます。
核はそこなんだけど、広い意味で大人の女性の様々な心理描写が満載といった感じです。

全10曲とコンパクトにまとまっています。
ビートルズのノスタルジーを味わえる『今すぐ会いに来て』、ZARDの王道ポップス『ハイヒール脱ぎ捨てて』『もう逃げたりしないわ 想い出から』、社会風刺を歌詞に取り入れたロックナンバー『I'm in love』、ブラスを導入して生まれ変わったシングル『こんなにそばに居るのに』と聴く者を飽きさせない。
先行シングル『あなたを感じていたい』『Just believe in love』も聴き逃せない。
最後は雰囲気のあるボサノヴァでクールダウン。
ZARDの作品の中でも非常に完成度の高い、意図的に完成度が高く作られた作品といえる。

個人的な憶測になるけれど、ビーイングのチーフプロデューサー長戸大幸氏が、がっちりプロデュースしたという意味では最後となるZARDのアルバムだったような気がする。
当然その後も多少なり関わっているのだろうけど、以降坂井泉水さんはセルフプロデュースに入ってゆきますから。大きく作風が変わっていくんです。

丁寧に作られた傑作と言い切って良いと思います。


個人的評価 ★★★★★★★★★★ 10


forever you 【30th Anniversary Remasterd】
ZARD
ビーグラムレコーズ
2021-09-15



【SINGLE】
1. 『あなたを感じてい>い』
C/W 『Take me to your dream』

2. 『Just believe in love』
C/W 『Ready, Go!』


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