麗美(レイミー) 3rd Studio Album
PANSY (パンジー)
COLUMBIA
日本コロムビア株式会社
1985年9月21日発売(LP: AF-7355 / CT : CAR-1364 / CD: 33C31-7518)

▼カタログ
・紙ジャケ:2009年10月21日(CD: COCP-35833)
・オンデマンドCD:2008年11月21日(CD-R: CORR-10052)
・CD文庫:1994年11月21日(CD: COCA-12158)
・再発売(REIMY COLLECTION):1989年11月21日(CD: CA-4071)

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Produced by Masataka Matsutoya
All Songs Arranged & Conducted by Masataka Matsutoya

最高9位

TL

1. Time Travelers
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

1985年5月21日発売の4thシングル。
近未来を感じさせるSFチックな1曲。由実さんこれどうしてカバーしなかったのだろうね?
90年代のアルバム(『U-miz』前後あたり)に忍ばせていたら絶対、由実さんの楽曲としてコンサートなどでも親しまれたと思うなあ。
キーボーディスト然とした正隆さんのアレンジが良い!


2. 真夜中のシンフォニー
(作詞:田口俊・作曲:REIMY・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

メルヘンな歌詞を彩る可愛らしいメロディーと、壮大なアレンジに耳を奪われるようだ。
Aメロ→サビ→Aメロ結びは『星のクライマー』と同じ構成。彼女はこのタイプが好きなのかな。
麗美さんが雲母を離れた後に出した『都会のサファリパーク』という 曲があるんだけど、サビのメロディー展開がユーミンそっくりなんだよね。
パクリとかじゃなくてユーミンが作りそうな曲を生み出せる技術があったのかな、って感じた。もしかしたらユーミンの作曲法を会得していたのかもしれない。(姉もユーミンぽい曲を書く才能がある)
6thシングルのB面にも収録された。


3. 国際線
(作詞:田口俊・作曲:MAYUMI・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

実姉の堀川まゆみさんから楽曲提供を受けている。
ユーミンっぽい曲を書く人ですよね。ユーミンを追いかけていた今井美樹も彼女から多数の提供を受けて名曲を送り出した。


4. すぐそばにいるの
(作詞:田口俊・作曲:MAYUMI・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

こちらも実姉である堀川まゆみからの提供作品。
サウンドの質感はAORシティポップに入るかも。


5. パンジーとトパーズのネックレス
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

実質的なタイトルソング。
作者の松任谷由実さんは、おそらく歌うことがないだろう乙女ソング。無垢な麗美のボーカルを最大限に引き立たせる優雅なアレンジがキラリと光る。終わり方が良いんですよ〜正隆さん最高と言いたくなる!


6. 花びらの舞う坂道
(作詞:田口俊・作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

以前ベストアルバムの感想を書いた際にも書いたかもしれないけど、呉田軽穂臭がプンプンしている。つまり松本隆さんが作詞して聖子さんが歌えば普通にそれで成立するっていう。

7. ひとちがい
(作詞:作曲:松任谷由実・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

強いていうなら『埠頭を渡る風』とかユーミンの歌謡曲テイストがよぎる。
世に出ていないものの、松任谷由実さんが90年代にレコーディングしていることが判っている楽曲。
アレンジの感じからして、由実さんの声で容易に再現できちゃう。というか絶対合っていると思う。なんとか出してもらえないだろうか。


8. Ring!
(作詞:田口俊・作曲:MAYUMI・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

ドリで『Ring!Ring!Ring!』って歌があったけど、あれとは全く関係ありません。

9. 思い出よりたしかに
(作詞:相良好章・作曲:REIMY・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

本人作曲。
こうして聴くと姉はもちろん妹にも作曲のセンスはあったんだろうなあ。


10. 虹の朝 風の空
(作詞:田口俊・作曲:REIMY・編曲:松任谷正隆)
(C) 1985 NICHION,INC.

本人作曲の爽やかなポップ・チューン。
本人によるコーラス含めて透明感を感じさせるヴォーカルが印象的。
彼女のイノセントなイメージを完璧に表現したアレンジが光る。


RV




プロデューサーは1stアルバム、2ndアルバムに続いて松任谷正隆氏。単独クレジットです。
楽曲提供で夫人の松任谷由実さんが参加していることから、当時は松任谷夫妻のバックアップと言われていたそうだ。

葉加瀬太郎を見出したことで知られる芸能プロモーター、作曲家のロビー和田氏の紹介で松任谷正隆氏のプロデュースが実現した。

時期的には、由実さんが『NO SIDE』や『DA・DI・DA』でそれまでの50万枚レベルの売り上げの壁を超え、70万枚、80万枚へと到達していた頃のこと。
そしてそれは呉田軽穂として、松田聖子に数々の名曲を作曲提供していた由実さんが松田聖子への提供を終了した時期でもあった。最後は1984年のシングル『時間の国のアリス』である。(2015年の35周年にシングル用に2曲提供したが話題にならず)

常に新しいことをやってきた、という由実さんにとっては聖子に書くよりも、新人に曲を書くほうが何かと面白かったのかも知れない。
おそらく旦那に頼まれたのでしょうけど。(笑)

『ノーサイド』とか『青春のリグレット』(2ndシングル)『残暑』(3rdシングル)『霧雨で見えない』『恋の一時間は孤独の千年』など由実さんがカバーし名曲として認知されていますが、オリジナルは麗美さんになります。
いずれも由実さんが作詞、作曲ともに手がけた作品になりますが、由実さんは他者に提供したものを必ずカバーするという方ではないですよね。

小林麻美さんに書いた数曲、西城秀樹さんに書いた『2Rからはじめよう』、Coming Centuryに書いた『恋のシグナル』、元ちとせさんに書いた『春のかたみ』などいずれも由実さんが作詞、作曲ですがカバーされていません。
『春のかたみ』なんて相当な名曲ですけどね。

麗美さんに書いたアイドル風の曲以外は、もともと由実さんが歌おうと思って書いたものだったと考えると、麗美さん曲のクオリティーの高さとカバー率の高さに説明がつきます。
『Time Travelers』『ひとちがい』はカバーして欲しかった。(『ひとちがい』はマスターテープがあれば聴ける可能性はゼロではない)
特筆すべきなのは他人の作曲モノは歌わないことが多い由実さんが麗美が作曲した『星のクライマー』を自身のアルバム『フェイセス』でカバーしている点。作詞は由実さんではありますが。

由実さんがソングライティングで携わった麗美さんワークスは『GOLDEN⭐︎BEST 〜REIMY BRAND COMPLETE〜』である程度チェック出来ます。
ただ、正隆さんは3枚のスタジオアルバムをフルでプロデュース、アレンジされてますので、オリジナルをチェックしないと全てを聴くことは出来ません。
アレンジャー松任谷正隆をたどる上で、彼女の作品は欠かすことはできない。

今作はアイドル的要素とアーティスト的要素が混在していて、耳なじみの良い作品といえるでしょう。
麗美さん自身の作曲作品も悪くないです。


個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 8






最終更新日:2023年12月30日
投稿日:2019年1月12日