橘いずみ - こぼれおちるもの
橘いずみ 4th Album
こぼれおちるもの-THE SHADOW OF THE MOON-
Sony Records Sony Music Entertainment (Japan) Inc.
1994年6月22日発売(CD : SRCL 2924)

tachibana_4th

Produced by Akira Sudoh & Izumi Tachibana
All Songs Written by Izumi Tachibana
All Songs Arranged and Played by Akira Sudoh & Izumi Tachibana
最高7位・約15万枚

TL

1. 上海バンドネオン
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

1994年7月21日発売の7thシングル。最高48位、約2万枚。
橘さんの作品ではよく見られる韻を踏んだ言葉遊びが堪能できる。
バッキングの違いこそあるものの『失格』とかと同じ毛色の曲になると思う。


2. DARK ZOO
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

尾崎豊系ロックナンバー?

3. 永遠のパズル
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

994年4月21日発売の6thシングル。最高9位、約37.2万枚。
フジテレビ系ドラマ『この愛に生きて』主題歌。
Mr.Children『名もなき詩』のラップ?はこれをオマージュしたもの。
自分より大きな 自分の影を追いかけて
いつまでも絶対 追い越すことなんてできない
悲しいけれど


4. 砂漠の太平洋
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

やっぱり橘さんの歌ではこういう感じが好き。
雄大でせつなくて力強くて…弱くて…。
最後のサビの繰り返し部分は思わず合唱したくなるね。


5. 指定席
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

橘さん的演歌なのかなあ(笑)中島みゆきさんに近い演歌的なものを感じる。
橘さんの歌には本当に多いんですよね、道ならぬ恋を連想させる歌詞。


6. リフレッシュ・メモリー
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1993 Sony Music Artists, Inc.

橘さんの曲でもここまでぶっ飛んでる曲って他にあるのかな?(笑)
でも最後の最後に毒があってなんか安心。


7. ズレテル
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

うーん…。歌なのかな(笑)

8. アドバイス
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

浜田省吾さんや尾崎豊さんの曲にも度々見られた、雄大さを感じさせるロックサウンド。
前向きなアドバイスが背中押してくれる。


9. ボタン
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

『永遠のパズル』カップリング。
ジャジーでアダルティな橘さんが素敵。
すごく抽象的だけど、許されない愛を歌ってるのかな。


10. こぼれおちるもの
(作詞・作曲:橘いずみ・編曲:橘いずみ & 須藤晃)
(C) 1994 Sony Music Artists, Inc.

イントロは『上海バンドネオン』のイントロと同じ旋律ですがスロウになっています。
アジアの匂いを感じさせる前奏に引き込まれてゆくせつなさ全開ソング。
絶対手に入らない愛を知った孤独を切々と歌い上げる。
表題曲だけあってグッとクオリティが高い曲といえましょう。
間奏のつぶやきがこれまた良くて、橘さんってナレーターとかやったら良いんじゃないかと思うほど。
これまでのアルバムの最後は元気な歌が続いていましたが、今作ではどうしようもない愛を叫ぶバラードとなった。
「また会えるでしょ」自分を慰めるかのようなつぶやきで涙腺崩壊。

だけどあの人のことだけは全部知りたい


RV

シングル『失格』のヒットを受け、注目を集めていった橘いずみさん。
アルバム『どんなに打ちのめされても』を経てシングル『バニラ』、『サルの歌』と精力的に発表。
1994年、年明け早々にアルバム『太陽が見てるから』もトップ10に送り込み、その存在感が増していました。
ソニー系のレコード会社はどういうコネがあるのかは分からないけれど、ここぞっていうときにフジテレビのドラマのタイアップを持ってくるんです。
例を挙げると米米CLUB、久保田利伸さんなどが挙げられる。
橘さんもこの年『永遠のパズル』がドラマ主題歌に大抜擢(?)され自身最大のヒット曲となり代表曲となります。
このヒットが後押ししたのか、6月には5ヶ月で次のアルバムを発表します、それが今作『こぼれおちるもの』です。
CDの帯にはこう書かれています。

誰にとっても正しい答えなんてどこにもない

英語のタイトルはTHE SHADOW OF THE MOONといい、『太陽が見てるから』の英語のタイトルがThe sun in the skyとなっており両者が対になってることがわかります。
月というのは暗闇の世界。
月が輝いて見えるのは太陽の強烈な光が反射しているから。
月は太陽がないと光ることはできない。
前作収録の『太陽』という曲は手にできないものへの憧れを歌っていたが、実は橘さんが『月』で橘さんを輝かせる存在の『あなた』が『太陽』なのかも。
そのあたりがこの二作品にはメッセージとして込められているのかも知れない。

ダリルホール、ブルーススプリングスティーンといった洋楽のエッセンスを漂わせながらも、凛とした女性として昇華させている。
ヒットした『永遠のパズル』だけじゃなく、従来から得意としている『砂漠の太平洋』『アドバイス』のような雄大なロックサウンド、中島みゆきさんを彷彿とさせるような暗い『指定席』、特に異彩を放つ『リフレッシュ・ホリデー』など実に色々な彼女の音楽に触れることができる。
充実してた時期なんでしょうねクオリティ高いです。
でも最後はボロボロ泣きましょう。(笑)

個人的評価:★★★★★★★★☆☆ 8


こぼれおちるもの
Sony Music Direct(Japan)Inc.
2013-07-24