Salyu 1st Studio Album
landmark(ランドマーク)
TOYS FACTORY
2005年6月15日発売(CD : TFCC-86181)

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Produced by Takeshi Kobayashi
最高22位・約3万枚

TL

1. landmark
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

タイトル曲。
空虚でシリアス感漂うバッキングに乗せ、時に素っ気なく、時に感情的に歌う。


2. アイアム
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

どこか乾いたサウンドがYEN TOWN BANDを彷彿とさせる。

3. VALON-1
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2004 OORONG-SHA Music Publisher

1stシングル。小林武史氏お得意のバラード。
イントロを含めサウンド的な色合いも、まさに小林武史という雰囲気で、桜井和寿さんが歌えばMr.Childrenの曲になりそうな曲。
Salyuさんのクセのある歌唱との相性が良く、世界観はYEN TOWN BANDに近いような気がする。
YEN TOWN BANDの『あいのうた』カバーはMy Little Loverよりもこちらのほうが絶対合うんだろうな。


4. 虹の先
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2004 OORONG-SHA Music Publishe

シングル『VALON-1』カップリング。
優しいエレピに導かれるようにドラムとギターが絡まっていく。
Salyuさんの歌唱もクールダウンぎみで、新たな扉を開かれたかのように吸い込まれていく。
全体的にsweetestな曲に仕上がっている。


5. Peaty
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

3rdシングル。カップリング『砂』はこのアルバム未収録となった。
My Little Loverっぽいバッキング、すなわちそれは小林武史氏サウンドなのだが、ボーカルが変わるだけで曲の色が変わってしまうから不思議。


6. 体温
(作詞:小林武史、Salyu・作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

シングル『彗星』のカップリング。

7. ウエエ
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

ラブサイケデリコを思わせるロックサウンド。

8. Dramatic Irory
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

三洋電機 au WINシリーズ W32SA CMソング
シングルになっていませんけど、タイアップも付いてますしシングルにできるレベルの曲なのかなあと。
歌詞にアルバムタイトルである『ランドマーク』というフレーズが出てきます。


9. Dialogue
(作詞:Salyu、小林武史・作曲:編曲:小林武史)
(C) 2004 OORONG-SHA Music Publisher

テレビ東京系『JAPAN COUNT DOWN』エンディングテーマ。
2ndシングル、カップリング『光りの束』は未収録。
小林武史氏お得意のフォーマットのバラードで、YEN TOWN BAND『Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜』や今作収録の『Valon-1』に通じるバイブレーション。
また、小林武史さん作曲ではないWoman's Soul『throw away』やMr.Children『es』等でも同じ匂いを持ったサウンドを披露している。


10. 彗星
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

スマッシュヒットとなった4thシングル。
アルバム中もっともポップでキラキラしてるバッキングで、Salyuさんのボーカルに余裕が感じられる。歌上手いし、Aメロがすごく耳に残る。


11. Pop
(作詞:作曲:編曲:小林武史)
(C) 2005 OORONG-SHA Music Publisher

YEN TOWN BANDの世界観を感じてしまう。

RV

▼キャリア10年、まだまだ頑張ってます▼



この作品はSalyu(さりゅう)さん彼女にとって不幸な一枚かもしれない。
なぜなら、処女作にしていきなりアーティスティックな最高傑作を発表してしまったから。
作品としての完成度は驚くほど際立っています。設計図は小林武史作です。

プロデューサーは90年代のサザンオールスターズ(個人的に桑田佳祐がかなり嫌い)、Mr.ChildrenやMy Little Lover、レミオロメンなどで知られる小林武史氏。
小林さんがMr.ChildrenやMy Little Loverでメガヒットを経験し、プロデューサーとして有名になったあとですからやりたいことをやりたいように、しかも完璧にやってるという印象です。

はっきり言えばSalyuさんのアルバムなのにSalyuさんの『声』が『音色』として存在してるだけであるかのような、ね。
UAさんの粘っこさを薄めたような個性的なボーカルスタイルは耳に残るのだけど。

そういえばMy Little Loverもそうでした。
1stなのに作り込んで傑作にしてしまうというのが小林武史という人なんでしょうか。

彼はかつてFM番組だったか、インタビューで『僕がプロデュースするアルバムには絶対1曲はシングルにできる美味しい1曲を入れるんだ』というようなことを言っていた。
その際、My Little Loverのevergreenでは『めぐり逢う世界』という曲がそれにあたると言った。
Mr.Childrenでは『CANDY』とか『Any』『PADDLE』あたりは確実にそうだと思う。(『Any』がシングルだとは知りませんでした)

ではこの作品における、それはどれに当たるだろう。
個人的な推測ではあるが『Dramatic Irory』がそれだと思う。
本来なら『VALON-1』や『Dialogue』といった小林武史氏お得意のバラードがそれになりそうなはずだが、両方ともシングルになっている。

冒頭に書いたように、プロデューサー小林武史さんが作り込んで作品として出来上がってしまっているので完成度はズバ抜けている。
すなわちそれは新人歌手の1stとしては出来過ぎであり、満足してしまいこれからの未来を期待するという気持ちが削がれてしまいかねない。
聴き応えはある、極めて純度が高い小林武史流音楽を堪能できるとも思う。
コバタケブランド、コバタケコーティングが感じられる。

ただSalyuさんのアルバムなのに、小林武史 feat. Salyuといった印象が否めない。
一方で小林武史として表現したいものを表現できるのがSalyuだと考えれば、手放さない理由も納得できる。
売り上げ以上に傑作なので、聴いて損はありません。

個人的評価:★★★★★★★★★★ 10